大乱闘スマッシュブラザーズシリーズや星のカービィの産みの親としても有名な桜井政博さん、今回桜井さんの運営するYouTubeチャンネル『桜井政博のゲーム作るには』が最終回を迎えたことが、自分のYou Tubeおすすめに上がってきたので視聴すると目から鱗なことばかりで楽しかったので、記事にさせていただきます。
なので、今回は最終回動画1本のざっくりまとめ記事です。
まとまっていればいいのですが。。。。。
桜井政博さんはこんな人
・国民的ゲームを多く世に排出してきたゲームクリエイター
・代表作:大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ
星のカービィ
などの産みの親
・現在は有限会社ソラの代表取締役
YouTubeチャンネル『桜井政博のゲーム作るには』を立ち上げたきっかけ
今後あるかわからない空いた時間
2021年10月、同年7月に他のゲームのプロジェクトを進めながら並行して書いたゲームソフトの企画書が通った桜井さん。
しかし、そのままいざプロジェクト始動!とはいかなかった。
そのプロジェクトチームが集まるのが2022年4月になるとのこと。
それまで一つのプロジェクトに携わりながら他のプロジェクトの準備を始めるといった、プロデューサー業を続けてきた桜井さん。
ここにきて、2022年4月まではまとまった休みを取ることになったようです。
↓桜井さんのプロジェクトイメージ
- 次の仕事は決まっている
- 自身の準備もできている
- チームが集まっていない
今後ないであろう長期休み。
世界一周に行くもよしと考える桜井さんでしたが、愛猫ふくらしちゃん(メス)がいるので長期の旅行に行くことは断念。
でも何かしたい、と考えて、考えて、導き出した答えが、ずっと思っていたことを形に変えることだったようです。
ずっと思い続けていた願いーーーーノウハウを残すーーーーー
2003年、桜井さんはハル研究所をやめてフリーになったようです。
自信がゲームクリエイターになったきっかけを、ゲーム制作が向いていたから、とお話ししていました。
自分自身がゲームを作らなくてもいいと考えていたし、自分の作りたいゲーム・遊びたいゲームを作るといったことに焦点を当てていなかったので、ゲーム初心者向けに『星のカービィ』を制作し、自信が苦手としていたパズルゲーム『メテオス』を制作したようです。
また、同じ環境下で同じ人とプロジェクトを組むより、他社の人と組んでプロジェクトをする方が、異なるノウハウや経験が生まれゲーム業界全体にも良い影響をもたらす、と考えていたようです。
桜井さん自体がゲームデザインやディレクションすることは優先度が低く、
個人で作るものよりゲーム業界そのものを良くしたいと強く思っていたようです。
そのため、フリーになった直後には 、
・監修
・コンサル
・講師
・公演会
・書籍
など、さまざまなことを実践してきました。
しかし、いずれも多くの人自身の想いが伝わるかと言われれば考えものだったようです。
そしてひたすらに、
自分はゲーム業界にどんな貢献ができるだろうか、できることはなんだろうかと悩み考えていたようです。
そして今回、誰もがアクセスでき、資料としても残るものとしてYou Tubeチャンネル『ゲームを作るには』を立ち上げたようです。
You Tubeチャンネル『桜井政博のゲームを作るには』の制作期間
原稿があるから、始まりから終わりまでが決まっていた
2021年10月、休み期間にYou Tubeチャンネルを作ることを企画。
2021年11月頃には、原稿の準備にかかる。
①過去に書いたコラムやゲーム制作時の思い出を元に見出しを列挙して書き出すという作業で作成された。
その見出しが後の動画のタイトルになったようです。(これらは後の編集のテロップ、翻訳、事前チェックにも用いられたよう。)
②見出しをカテゴライズしカテゴリーごとお動画数を決める。
③見出しに対してそれぞれ原稿を書く。
↓↓
この作業をすることで、この時点でチャンネル開始時点ではチャンネルの始まりから終わりの動画数が決まっていた、そうです。
そしてこの時には、配信する動画の順番も決めていたようです。
これは、YouTubeチャンネルを運営するとしては類を見ない、作り方をしています。
しかし、チャンネルをしながら本業であるプロヂューサーの仕事は時間が取れず不可能であるため、先に全てを作る必要があった、とのこと。
当然、話数が決まっているため、視聴者からの反応や要望を聞くことはできなかった、とデメリットも語っていました。
この話を聞いてしまえば当然だし、仕方のない話だと後で理解ができました。
原稿が仕上がるまでは約1カ月を要したようです。
用意したタイトル数256本+コラボ3本+最終話=260本
見出しを原稿にする作業が単純計算で1日12本のペースで書く必要があったのだったとか。
収録の工夫
収録は当時の別宅で行っていたようです。
日中は陽の光の関係で雨が降らない夜を基本とし、雨の音やバイクや救急車の音が入る時は中断しながら慎重に行われていたようです。
原稿に1日12本で1カ月かかっていたので収録にもそれ以上がかかるため、できる時には相当な数の動画分を収録することをしていたとか。
その際には、実際にパイロット板を作成しトーク画面、ゲーム画像も本番同様に収録をしていた。(ゲーム画像に対する任天堂の協力は得られる体制を取っていた。最初の原稿チェックから必要な動画のテェックまですべて。)
収録の日は、夕方に別宅へ行き収録、撮り溜めをして、日を跨いで自宅へ帰宅の繰り返しをしていたよう。
撮影機器はSONY 「VLOGCAM ZV-1」と指向性マイクを使用。
ラジオの電波を拾うことがあったため、フェライトコアを使用し解消したようです。
収録を終えるのに約1カ月。。。。。。。
制作準備
ここまできたら、自分の撮った動画を軽く修正。言い淀んだり、間が空いた箇所をカット。
動画の長さを調整していく。
原稿と違う録画での言い回し等を合わせる。後でテロップや翻訳にする時に作業しやすいように。
また、話に合わせたゲーム画像を取っていく。
そして原稿・トーク動画・映像素材を合わせてファイルに入れ、編集の外部発注を視野しようにまとめる。
この作業までは次のプロジェクトが始まる4月までには仕上げる必要がありました。
編集ーーーーHIKE(当時QBIST)へ依頼ーーーー
2022年2月、動画の編集依頼をHIKEへ依頼。
メールでの依頼だったようですが、最初は本人か信じてもらえなかったとか。。。。。
原稿・トーク動画・映像素材と必要なものは渡していますが、必要なものはその都度ゲーム動画を取り直したり、HIKE側で撮ってくれたりしたようです。
次に書きますが、英語版に翻訳された原稿を動画にしたのもHIKEらしいです。
翻訳ーーーーハチノヨンへ依頼ーーーー
当時は海外版を作るなんて考えていなかったようですが、「せっかく作るなら海外の人にも見てもらいたい!」と原稿の英語への翻訳を依頼したようです。
英語版のゲーム素材が取れない場合は、ハチノヨンが撮って提供してくれたようです。
X(旧ツイッター)も日本語版、海外版と別れており、海外版の翻訳もお任せしたようです。
配信開始
そしていよいよ、編集が完成した動画をいくつか作り置きしてからの
2022年8月24日に日本版、海外版ともに配信スタート。
1日のスケジュール
配信しながらの1日のスケジュールはこちら。
時間 | スケジュール |
8:00 | ・起床 |
(本業)ゲーム制作宛の日報などを書く。 場合によっては、前日に入っていたチェックの確認。 | |
・朝食 | |
・支度 | |
18:30まで | ・仕事(通常) |
基本的にはゲームディレクション業務がメイン。 残業はするが、その日の仕事は次の日に持ち越さないようにその日に終えるようにする。 | |
・夕食 | |
20:00 | ・チャンネル業務 |
X(旧ツイッター用)用のスクリーンショット用意。 エンドカード作成、リンク設定 HIKEからの動画サムネイルチェック等 | |
1:00-2:00 | ・就寝 |
普段から多忙の中でのチャンネル更新。
配信は最初週3くらいで更新していたよう。
流石に、大変すぎて週2にしたようですが、それでも大変。
話を聞いているだけで卒倒してしまいそうなのに、それを達成できてしますのは意志の強さなのか。。。?
やれる時にやる!!
これに限るのかもしれません。
普通の人は真似できないと思いますが・・・。
You Tubeチャンネル『ゲームを作るには』の更新期間
チャンネルは日本語版と海外版の2つのチャンネルをたり上げており日本の人だけではなく海外のゲームファンの人でも気軽に見ることができるようです。
更新期間:日本版、海外版ともに2022年8月24日〜2024年10月22日の2年2カ月間
公開本数:日本版、海外版ともに260本=計520本
想像できない。。。。。。
長期休み(休んでいない)が終わってからの、本業で多忙の中での動画更新でした。
You Tubeチャンネル『桜井政博のゲームを作るには』の制作にかかった製作費
かかった費用は約9000万円!!!!しかも実費!!!
その内訳は図のとおり、
圧倒的に編集費が多く、次に海外版の翻訳日が多いです。
その他経費としては
・PRESS STARTの回における使用料:22万円
・ゲームセンターCXコラボ(3本):約150万円
となっています。
動画一本あたりの費用は
チャンネル費用÷配信本数
35万円!!!
しかし、ここには桜井さんの会社の経費はかかっていません。
原作、脚本、出演、監修、運営。。。。
編集前の動画の撮影、プレイ動画や制作動画は
もちろん全て桜井さんがご自身で手掛けています。
こんなに大変な作業を一人で。。。。
涙が出てきました。
普通だったら外注だし、プロモーションに有名人を起用したりして1億円以内には収まらないともご自身でも話されていました。
YouTubeの収益化もしていません。。。
もうここまで何故?と疑問に思ってしまいます。
それでも桜井さんはこの費用をかけてでも今回の企画をやりたかったことを話していました。
将来のゲームをより良くするための投資だと考えています。
いや、投資は将来のリターンもあることが前提ですが、
そうではないので寄付でありボランティア活動です。
例えば私がディレクターをしていたとして今どきの1本のゲームをチームで作り1億円で世に出すのは難しいですね。
重ね重ね答えは出ませんが、費用対効果としてはおそらく良い結果になったのでは?
世の中多くのゲーム作品が出ています。
多くの人が頑張っています。
その中に埋もれるたった1本のソフトを作るより、
少しでもゲーム業界全体にごく僅かにでも後押しになること、貢献できることを
心から願っています。
もうなんというか、なんと崇高な願いなのでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
動画は、誰にでもわかるように構成されています。
難しい用語は使わずお話しされています。
・ゲームに携わる人にとってはノウハウとして
・ゲームをプレイする人にとっては人生や仕事に対する考え方や姿勢として
何回でも見直してもらいたいほどの面白さとボリュームがあります。
この量のノウハウや製作費話を無料で見れるなんて、とてもありがたいと思います。
そして、こんな素晴らしいチャンネルを、
制作費9000万円(自腹)
製作期間:2021年10月〜2024年10月(3年)
で製作した桜井さんには頭が上がりません。
このチャンネルが、見た人の人生の経験のちょい足しの部分になり、少しでも桜井さんの伝えたいことが多くの人に伝わり、ゲーム業界の未来を明るくしてくれる人たちがたくさん生まれてくれることをなることを私も願わずにはいられません。
余談ですが、
自分は星のカービィに育てられた世代です。
ゲームボーイの星のカービィから始まり、ファミコン、スーファミ。。。。とプレイしてきました。
中でも一番の殿堂入りは星のカービィデラックスでしょうか。
話し出したらキリがありませんが。。
皆さんの青春時代のゲームはなんですか?
おまけーーーー詳しい制作秘話はこちらーーーー
落ち着いていて、なかなか表情に出ない桜井さんですが、プレゼンが得意というのも頷け、
お話の仕方(声の聞き取りやすさ、速さ、ジェスチャー)が素晴らしく、
・具体例
・ちょっとした小話
・視聴者を飽きさせないジョーク
・業界用語を使わない(使ってもすごくわかりやすく説明してくれる)
を交えてお話をしてくださっているので飽きずにとても楽しく、聞けます。
また、イメージしやすいわかりやすい編集
私は、もともとゲーム自体というよりゲームを作っている製作者の方に興味を持っていたのでとても楽しく深い話を聞くことができ、動画が短く感じてしまいました。
今まで、なぜチャンネル登録をしなかったのだろう。。。
なぜ、このチャンネルを知らなかったんだろうともったいなく思ってしまいました。
もちろん試聴後は遅ればせながらチャンネル登録をさせていただきました。
最後になりますが、この動画は制作期間が壮大で、費用も莫大にかかっていますが、収益化をしていないようです。
いやいや、これだけの量の情報をタダなんて逆に振り込みたくなる気もします。
超有料級の動画の数々。
せめて今からでも収益化をしていただけないでしょうか、と逆にお願いしたくなる内容でした。